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RECAROのフルバケットシートとして歴史に名を残すSP-G。そのSP-Gの後継モデルとしてRECAROジャパンが日本国内市場向けに独自に開発したのがRS-G。発売から20年の月日を経て、2025年3月末日をもって、一部のモデルを除き、生産終了となる。
偉大ならSP-Gの名。誰もがRECAROといえばSP-Gと知る。SP-Gこそが若かりし頃の憧れで、いつかはRECARO。いつかはSP-Gという時代があった。当時を知る人々は、サーキットに行けば、すべての人がRECAROのSP-Gだったと語る。眩しい限りのトップカテゴリーのレースマシンも、サーキットで名を馳せる数多のレーシングファクトリーマシンもSP-Gであった。そのSP-Gの後継となったのがRS-G。
RS-Gが新たな扉を開いたのは、フルバケ=サーキットというそれまでの常識を大きく覆したことであった。フルバケをつけていると「サーキット走る?」と誰もが聞かれた時代。その時代の先を創り出したのがRS-Gというモデルだ。いわゆるストリートユースのフルバケットシートである。サーキットのように走ることはできなくても、クルマの楽しさを感じられるシート。法定内のドライブでもクルマの楽しさ、運転することの楽しさを感じさせてくれるシートというのが "ストリートユース" のフルバケットシート。それこそがRECARO RS-Gが新たに切り開いたカルチャーであった。従って、肩・脇・腰・大腿部はしっかりホールドされるものの、長距離・長時間の運転でも疲れない。一般公道でも身体が、臀部が痛くなるようなことはない。むしろ運転中のストレスを感じることなく、フルバケこそ身体に優しいとまで言わせた。それがRS-Gであった。
さらにRS-Gは、RECAROジャパンが開発したことにより、日本国内特有の「ナンバー付きレース」でも多く利用された。公道も走れて、サーキットも走ることができる。日本の自動車メーカーのコンパクトな室内にも "干渉"を避けることができるよう全体のシルエットがコンパクトに設計されていた。ゆえに軽自動車、ロードスターやS660などの超コンパクトな運転席のレイアウトにもマッチングした。瞬く間に日本・アジアのフルバケットシートのベンチマークとなり、爆発的な人気を誇った。人気を誇ったというよりもRECAROのRS-Gこそがスタンダートになったのだ。RECAROか、RECAROではないか。その2択であったのだ。
こてこてのチューニングマシンでなくても。年に何度もサーキットを走るというクルマでなくても。見た目スポーツカーでなくても。愛されたストリート系フルバケットシートRS-G。ちょうど良い。そう「ちょうど良い」がRS-Gの魅力であった。
そのRS-Gが、カムイ生地を全面にあしらうRS-GSモデル(ブラックとレッドの2色)を除き、2025年3月末日をもって、注文受付が終了になると発表された。
発売から20年。RECAROが目指すのは、さらなる「未来のシート」創造である。