CHANGE YOUR SEATシートが変わればクルマも変わる

クルマ好きが集まる隠れ家 ザ・ヴィジット

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運転中の腰痛予防あるいは疲労を軽減するシートといえばRECAROである。創業からおよそ120年。シート専門の製造メーカーとなってからおよそ60年。その歴史と歴史によって培われた人間工学を追求する叡智は、世界中のどのシートメーカーも比べようも無いのが事実である。RECAROはRECARO独自のシート哲学をどの時代も色褪せることなく追求し続けてきた。それは今も変わらない。

モータースポーツで愛用されるフルバケットシートモデル。街乗りのスポーツドライビングを楽しむセミバケットタイプのスポーツシートモデル。こういった特殊な用途でなければ、RECAROが定義するコンフォートシートモデルやエルゴノミクスシートモデルも数多くラインアップされている。そのいずれのモデルにも共通するのがRECAROシート=疲れないというRECAROにしかない性能である。RECAROをベンチマークとして類似するスタイルやモデル、あるいは性能を謳うクルマ用のシートも数多く存在する。とはいえRECAROには到底及ぼないというのが現実である。その理由は明確である。形は真似ることができてもRECAROが継承するRECARO独自のシート哲学は真似ようがない。シートの構造、骨格やウレタン素材、強度・剛性、人間工学から生まれる緻密なスタイリングなど、RECAROはコストや生産性よりも常に性能を最優先としているからである。

その中でもRECAROが "究極のエルゴノミクスシート" として開発したモデルRECARO RCSは、秀逸である。RECAROであればラインアップされるどのモデルも "疲れない"という性能は保証されているが、このRCSはさらにその上を目指して開発されている。その大きな違いはバックレスト(背もたれ)の腰椎部を支える性能にある。その違いを簡単に説明すると、ひとつは他のRECAROシートよりも縦の断面形状が異なっている。他のシートよりも少し寝かせた角度を設計の基準に置いている。そのため腰椎を支える "ランバーサポート"の形状が異なっている。ふたつめは、専用開発されたウレタンフォームにある。他のモデルに比べて腰椎部あたりのウレタンの厚みとクッション性が異なっている。腰椎部まわりのウレタンのストロークが少ないというのがRCSの特徴である。

このRCSのもつ特性がどう異なるのか、なぜ究極のエルゴノミクスシートと謳うのかを人間の身体で説明する。人間が腰痛を発症するひとつの例をあげると "猫背"にある。猫背がなぜ腰痛を引き起こすかというと本来の背骨の形状ではなく背骨を丸めてしまうと椎間板が潰れて背骨に大きな負担が掛かってしまうわけである。姿勢を正すという場合、おへそを前に出す動作をすると背骨(背筋)がしっかり伸びるであろう。逆におへそを後ろに凹ませると猫背になる。着座している姿勢も同じである。シートに座りながらおへそを前に出したり後ろに凹ませたりする動作をするとわかりやすい。腰痛を抱えている場合、このおへそを前に出した姿勢を保つことが難しいと感じる人が多いであろう。つまり腰痛を防ぐひとつの方法としてこのおへそを前に出した状態(=おへそを凹ませない状態)で着座姿勢を保持できるか否かである。

RECARO RCSは、意図しておへそを凹ませようとしてもできないのである。つまり腰椎部を支えるシートのバックレスト(背もたれ)のクッションがストロークしないため、半ば強制的に正しい姿勢を保持してくれるのである。RECAROのすべてのモデルが正しい姿勢へと導くフォルムになってはいるが、このRECARO RCSとRECARO PRO RACER RMS、このふたつのモデルは、とりわけ腰椎部あたりのフォルムが他のRECAROシートモデルとも異なっている。いずれも他のモデルより寝気味の角度で使用することを前提に設計されている。結果として運転中の腰痛に悩む人にとってはもっとも腰に優しいモデルとなったのである。是非とも実際に座って体感していただきたい。最終的には、シートの良し悪しは "ヒト”が感じるものである。その感性は千差万別かもしれない。故に実際に試座して確認するのが最良である。


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