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RECAROコンフォートシートシリーズのスタンダードモデルとして多くの方に愛用されたLX-Fが2026年2月末をもって生産終了を迎える。一方で、2026年4月よりこの"LX-F"というモデル名を継承する新たなモデルが発売となる。
今回、生産終了となるLX-Fは、2005年にRECARO JAPANが独自に開発したストラクチャー(シート骨格)「IS-05」を使用した最後のモデルであった。IS-05というストラクチャーの名称は、RECAROの社内開発コードであり、一般的には知らされていないし、馴染みもない。しかしながら自動車用シートの進化の歴史の中で、安全性を飛躍的に向上させた画期的なストラクチャーであった。コストと生産性の両立をバランスよく保ちながら、数多の特許技術を取り入れ、優れた安全性能を発揮した。かつてのSR-6/SR-7/SR-11、そしてこのLX-Fというモデルに採用されるなど、いずれもRECAROシートの豊富なラインアップの中で、所謂「手の届く」価格帯のスタンダードモデルを牽引した。さらにこのIS-05をベースとしたRECAROシートが日本国内の自動車メーカーにも数多く採用された。
日本国内でアフターマーケット向けの自動車用シートを販売する際、もっとも注視されるのがディメンジョンである。SNS等で「このシートは日本人向け」とか「欧米人向け」という書き込みを目にするが、専門的には大きな間違いである。日本人向けや欧米人向けの言葉の意味はなんだろうか?サイズや体格の問題であろうか?自動車業界では、設計・開発プロセスにおいて、基準とする人間のモデルが採用されている。さまざまなサイズがあるのは事実であるが、一方では今日のグローバルなビジネス戦略の中で、日本人であったり、欧米人であったりという区別はほとんどない。仮にそれがサイズや体格を意味するのであれば、シートのみならず、クルマ全体がさまざまな体型・体格を考慮して、クルマのコンセプトであったり、シートやステアリングなどのレイアウトを熟慮しているという傾向にあるだろう。そんな中、RECARO JAPANが製品開発において、もっとも考慮しているのは、日本の自動車メーカーが発売するクルマ(車室内)のディメンジョンである。特にスポーツカーやミニバン、軽自動車といった車種においては、車室内のディメンジョンに制約が多いこともあるため、RECARO JAPANが発売する製品が日本国内の主な車種にマッチングするのかどうか。それは大きな開発のポイントとなる。
LX-Fというモデルは、例えば、ハイエースであったり、ジムニーであったり、あるいは数多の軽自動車の車室内のディメンジョンに適合するようコンパクトなフォルム設計を強く意識されていたという。センターコンソールやシートベルトのバックル、そしてBピラーとの干渉などがそれである。シートクッションの最大幅、リクライナーダイヤルの大きさ、バックレストのショルダーサポートの形状など。いずれもヒトが正しい姿勢で、正しい着座性能の恩恵を受けながら、かつ車室内との干渉を最小限に抑えるシート全体のディメンジョン。LX-Fというモデルは、さまざまな車種をターゲットとしたコンセプトであるがゆえに、そのマッチング率を高い水準で維持することが命題であったという。
加えて、シートクッションの形状もLX-Fの最大の特徴である。スポーツカーのような低い着座位置。セダン系のクルマのような中間の着座位置。そしてミニバンなどの高い着座位置。さまざまな着座位置で使用されることを想定しながら、特に中間から高い着座位置の車種をターゲットとした特別なシートクションの形状を追求し続けた。事実、LX-Fは、それ以前のRECAROシートにラインアップされていた「フラットタイプのシートクッション」をさらに改良を重ね、最適解を求めた結果、2度のマイナーチェンジを行った。
こうした背景から長年多くの方に愛用されたモデルがLX-Fであった。そのLX-Fが2026年の2月をもって生産終了。そして同年4月より、さらに進化したLX-Fに生まれ変わるという。
人間の身体は、平均身長などの変化はあるものの、基本となる体型や体格に大きな変化はない。それでもRECAROは、進化しなければならない。クルマそのものの変化やクルマを使用した人々のライフスタイルの変化に対応しなければならない。変わるべきもの。そして変わるべきではないもの。変わるべきは、シートの性能であり、変わるべきでないものとは、RECAROのシートが安全かつ快適な着座性能を愚直に追求するというRECAROのDNAである。








