CHANGE YOUR SEATシートが変わればクルマも変わる

クルマ好きが集まる隠れ家 ザ・ヴィジット

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モータースポーツに欠かせない重要パーツのひとつ。それがシートである。昨今のモータースポーツで利用される特別なシートの原型となったのがRECAROのPRO RACERモデルである。世界中の多くのシートメーカーが、このRECAROのPRO RACERをベンチマークとし、PRO RACERが道を切り開いた。

競技用シートに求められるのは、高強度・高剛性・そして軽量である。強くて、しなやかで、軽い。それが評価の基準である。PRO RACERこそがその原型だったのだ。この強くて、しなやかという性能は、ドライバーの「より速く、より正確に」マシンを操るドライビング性能に大きな影響をもたらす。ドライビング技術の基本は、「予測」と「対処」である。どのぐらいアクセルを踏み、どのぐらいブレーキを踏み、どのぐらいステアリングを切れば、マシンはこう動くという予測の中でマシンを操る。その予測は、研ぎ澄まされた感性と幾重にも積み重ねられた経験(データ)から生まれる。

一方で、マシンがもつ性能を限界領域で操るモータースポーツの世界では、その予測を超えた状況も起こり得る。その状況への「対処」が技術の高さにつながる。対処とは、予測を超えた状況を、より速く、より正確に、察知し、判断し、反応することが求められる。そのすべてをコントロールするのは「人間」だ。市販されるさまざまなクルマには、さまざまな「制御」機能が備わっている。「予測」と「対処」をさまざまな機能で補うというものだ。その便利とも言える「制御」システムでさえ扱うのは「人間」である。

その「人間」とマシン(クルマ)のインターフェースとなっているのが「シート」である。プロのドライバーに聞くと、「路面の状況やタイヤのグリップ感などをステアリングから感じる」というが、確かに「手」が触れている部分ではあるが、「手」はあくまで人間の身体の道具のひとつに過ぎない。感じるのも反応するのも脳であり、脳は「手」からの情報だけではなく、身体のあらゆる部分(道具)から情報を収集している。人間の身体がもっとも多く接しているのがシートである。シートの役割は、「より速く、より正確に」マシンを操るドライバーの着座姿勢を常に同じ状態で維持することにある。同じ状態であるからこそ変化を感じる。変化に反応することができる。さらに言えば、その変化という情報を「より多く、より速く、より正確に」人間の身体に伝えられるかどうかも重要である。

RECAROが追求するモータースポーツのための特別なシート。それは「インターフェース」としての役割の追求である。PRO RACERに始まったRECAROのモータースポーツシート。2005年には、PRO RACERやPRO RACERの系譜をもつSP-Gなどから進化したRS-Gというモデルが国内市場向けに日本のRECAROが開発した。サーキットからストリートへ。ストリートからサーキットへ。時代の変化に伴い、サーキットでも一般公道でも使いやすいフルバケットシートというのがコンセプトであった。2008年には、PRO RACERの名を継承するRMSというモデルが同じく国内市場向けに日本のRECAROが開発した。RS-Gとは大きく異なり、保安基準に適合するもサーキットでの性能を追求した。プロドライバーがナンバー付きのマシンでサーキットを走る。プロドライバーの高度な技術と感性にも必要十分な性能。それがRMSである。すべてがPRO RACERモデルからの正常進化である。

近年、モータースポーツ競技で規定されるシートには、「安全性」というのが重視されるようになった。FIAが定義する要件は、一般公道での使用とは大きくかけ離れたものである。一般の人がまったく必要としないもの。一般の人が自分もいつか使ってみたいなという想いに駆られるようなものではない。今後、RECAROは、どのような未来を描くか。変化するモータースポーツの世界にどのような答えを生み出すか。乞うご期待。


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