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Motorsport

TOYOTA GAZOO Racing GR86/BRZ Cup 2023。5戦目の舞台は岡山国際サーキット。合計13の中低速コーナーが続くテクニカルコースである。ホームコースとして、この岡山を得意とするドライバーやチームも多い。RECARO RACING TEAMも菅生と並び、この岡山で幾度も走行テストを重ねてきた。

2023年9月9日。GR86/BRZ Cupの予選がスタートした。プロクラスの参加台数は40台。この大会よりDUNLOPが新しいタイヤを投入。RECARO RACING TEAMプロクラスの小暮選手もこのDUNLOPの新しいタイヤで臨んだ。確実に戦闘力はあがっていた。同時開催のフォーミュラライツやヤリスCupによって路面状況が刻々と変化する難しいコンディション。開始と同時にタイムアタックに入るチームが多い中、RECARO RACING TEAMは路面状況を考えて後半でのアタックを選択した。DUNLOPタイヤを選択するチームが多数上位に食い込んだ。BSが優勢と言われた今年のこれまでのレースと大きく変化していた。ポールを獲得したのはDUNLOPタイヤを履く菅波冬悟選手。タイムは1"46"373。小暮選手は、コンマ6秒ほどの差で17位。タイムは1"46"959。岡山はコース全長も3.703kmと短いため、トップタイムから1秒内に29台が連なる大接戦となった。

翌日の10日。決勝レースがスタート。1コーナーの進入で少し遅れた小暮選手は順位を下げた。その直後、裏のストレートからヘアピン。リボルバーにさしかかったところで数台が接触。スピンしたマシンがコースを塞いでしまった。テール・トゥー・ノーズ状態の1ラップ目だけに回避できない後続車両が次々に接触。5台が絡むトラブルで赤旗が出された。序盤で出遅れた小暮選手は、この接触事故を回避することができた。不幸中の幸いであった。コース上のマシンを移動させるのに15分ほどかかり、SC先導のもとレースが再開された。一旦中断したことによりタイヤの空気圧や決勝レースのプランがより難しくなった。17位スタートの小暮選手は、リタイアしたマシンが多かったにも拘らず、順位をふたつ落としての19位フィニッシュとなった。

このワンメイクレースは、リミッターが効いている。予選アタックでも1秒以内に29台が並ぶ混戦。コース幅が狭く抜きどころのないサーキット。パッシングするのにかなり大きなリスクを伴う。プロであっても接触ギリギリのバトルは避けられない。決勝レース序盤での大きな接触事故は、ドライバーのプレッシャーとなってのしかかる。無茶はできないが、慎重になりすぎても勝負にならない。上位を走るドライバーは、比較的個々のペースで周回を重ねることができるが、中盤以降のドライバーは2ワイド、3ワイドでコーナー進入することも多く、多少のリスクを冒しても順位をあげにくる。従って、接触リスクも高くなる。小暮選手が赤旗再スタート後、リスクを回避して、慎重にならざる得なかったのも止むを得ずである。

レース後、「これまでのレースよりは前向きに走ることができた。決勝レースのペースもそれほど悪くなかった。だからこそ、やっぱり予選だと思います。予選でしっかり上位に食い込めるようにしなければならない」と語った小暮選手。次戦は10月の鈴鹿。そして11月の富士。この2戦で今年のレースは終了となる。鈴鹿も富士も厳しい勝負になる。鈴鹿は他のサーキットと違ってマシンのセッティングが難しい。富士は、ホームコースとして走り慣れたチームが多く、得意としているドライバーも多い。ただ最後まで小暮選手は、戦う姿勢で挑む。遠く霞んで見えたライバル達をその視界に捉えるために。チームのために、自分自身のために、プライドを賭けて挑む。


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