Motorsport
TOYOTA GAZOO Racing GR86/BRZ Cup 2023。今年4戦目の舞台は十勝スピードウェイ。RECARO RACING TEAMは、プロクラスに小暮卓史。クラブマンに江原と舩井の2名。計3台体制でエントリーした。
十勝大会は、他のサーキット開催よりも参加台数が圧倒的に少ない。プロクラスが32台。クラブマンで20台。それだけに結果も期待したいところではあるが、逆にスポットでの参加台数が少なく、フル参戦している強きライバル達がしのぎを削る最も厳しいレースとなる。ひと昔前であれば、十勝スピードウェイで国内レースのトップカテゴリーが開催されることはほとんどないことから、天候や路面状況の変化に対応するのが難しく、少しでも走行経験の多いチームとドライバーが有利と考えられることもあった。しかしながらこのワンメイクレースも10年目。10年も過ぎれば、イコールコンディションのガチンコ勝負である。
チームのレースウィークは、木曜日からスタート。走行は30分 x 2本。まずはコースの状況、マシンの状態を確かめるように走り始めた。十勝スピードウェイは、このワンメイクレースが開催されるサーキットの中で最も高低差が少ないコースである。菅生が70mほどに対して、十勝はわずか15mとなっている。GR86とBRZのエンジンレスポンスの違いが影響しにくいとも言える。ただ低速域での直角コーナーがやたら多いことから、いかにターンインで止め過ぎず放り込みながら、アンダーステアとオーバーステアをピンポイントでコントロールして、素早くリア荷重に乗せながら、どれだけアクセルを早く、長く踏めるかという勝負になる。そういう点では、このワンメイクレース特有の走り方を極めているかどうか、その差が勝敗を決めるというのは他のサーキットと同じである。
909号車の小暮選手。このレースからショックアブソーバーをぶっつけ本番で "A'PEXi" に変更。走り出しからフィーリングは悪くなかった。脚の動き方も小暮選手にとって良い方向であった。ただタイムが伸びない。トップタイムを出すドライバーから1秒いや1.5秒ほども離されていた。結局、その差を縮めることは叶わず、そのままの予選結果となった。32台中の29番手。これまで数々の輝かしい実績を積み上げてきた小暮卓史本来の姿ではなかった。日曜日に開催された決勝レースでは、スタート直後に前方を走る3台のマシンがコースアウト。小暮選手のスタートも決まり、内圧もはまり、17番手まで順位をあげてフィニッシュした。十勝スピードウェイがオーバーテイクしづらいコースであると考えれば、今できるベストを尽くしたと言える。
予選でのトップとの差は、1秒229。決勝レースのBest Lapも1秒以上の差があった。「予選アタックは自分としてはまとめられた方だった。まだ詰められるところはあってもコンマ何秒。でもトップと比べるとタイムが出ていない。何かを見落としているのだろうか」と苦しむ小暮選手。1秒以上の差ともなると、それは明らかにドライビング技術の差である。トップカテゴリーではひょっとするとタブーとされる技術かもしれないが、このワンメイクレース特有のドライビング技術の差である。マシンやドライビング技術の特性の差をコース全体でプラスマイナス0あるいはプラスに変えることができる他カテゴリーとは異なり、リミッターが効き、パワーのないナンバー付き車両で行う、このワンメイクレースの難しさである。
今シーズンも残りわずか3戦。岡山・鈴鹿・富士と続く。この3つのサーキットは、今年もっとも厳しいチャンレンジになることは絶対である。朧げなライバル達のシルエット。RECARO RACING TEAMは、小暮卓史は、その姿をクリアに捉えることができるのか?最後まであきらめない。小暮卓史の本当のいるべき場所へ。挑戦が続く。