Motorsport
日本国内のワンメイクレースで最も過酷と言われるTOYOTA GAZOO RACING 86/BRZ Cupの岡山大会が、2024年9月14日と15日の2日間で開催された。2019年からこのワンメイクレースにフル参戦を続けるRECARO RACING TEAMも4台のSUBARU BRZでエントリーした。
906号車の近藤翼選手。909号車の小暮卓史選手。この2台がプロフェッショナルシリーズに参戦。270号車の江原選手と315号車の舩井選手。この2台がクラブマンシリーズに参戦した。昨年に引き続き、RECARO RACING TEAMは、プロクラスとクラブマンクラスの2つのクラスにエントリーする体制をとっている。これは、プロクラスで戦うことでひとつ上の次元でモータースポーツを学ぶということ。そしてこのワンメイクレースの核となっている「モータースポーツの裾野を広げる」というコンセプトに基づき、ジェントルマンドライバーがモータースポーツに求めるものを学ぶということ。その2つの目的からであるという。
岡山は、距離こそ短いが、高低差があり、しっかりマシンをとめて、マシンの向きを変えてコーナーに進入して、しっかりと立ち上がっていくというテクニカルなコースである。レーシングカーとしては、パワーがないナンバー付き車両でのレースとなると、よりシビアにドライビングの基本が求められるとも言える。だからこそRECARO RACING TEAMもこの岡山では幾度も練習走行を重ねてきた。チームとしてもドライバーとしても経験の高いコースである。906号車の近藤選手には、より強いLSDの仕様を持ち込んだ。906号車の小暮選手には、このプロクラスの標準的な仕様のLSDでセットアップしていた。このメカニックの選択は功を奏した。近藤選手は、専有走行(各ドライバーが予選を想定してタイムアタックをする前日の練習走行)でシングル8番手のタイムを出した。このとき、近藤選手はかなり余力を残していた。トップとのタイム差コンマ5秒は、間違いなく届くところだと確信をもっていた。しかし、決勝レースでタイヤを持たせたいと考え、予選前にLSDを弱めるというセッティングに変更した。予選当日、路面のコンディションなどから、そのセット変更が結果的には失敗となった。タイムが出なかったのだ。予選、近藤選手が17番手。小暮選手が18番手。と残念な結果になってしまった。チームとして悔いの残るレースとなった。
岡山での走行マイレージが少ないジェントルマンドライバーも芳しくない結果に終わった。315号車の舩井選手については、決勝レースの序盤での最終コーナー出口。前走者の急な失速を回避する形でスピン。マシンは大きなダメージをうけてしまった。「あのコースオフさえなければ、楽しいレースウィークでした」というのがジェントルマンドライバーのコメント。ジェントルマンドライバーの心境を察するに、胸を締め付けられるような想いとなった。これもレースだ。
背負うものがあるプロドライバーの想い。楽しいと不安と後悔が入り混じるジェントルマンドライバーの想い。心ひとつに真摯に向き合うチームスタッフの想い。モータースポーツに欠かせない。
それぞれの想いがチームを強くする。