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Motorsport

2019年よりTOYOTA GAZOO Racing GR86/BRZ Cupに参戦し続けるRECARO RACING TEAM。2025年のチームウェアデザインは、RECARO RACING TEAMが所有・参戦するSUBARU BRZ車のゼッケン番号をモチーフとしている。佐々木孝太選手の903号車。近藤翼選手の906号車。小暮卓史選手の909号車。そしてジェントルマンドライバー江原選手の270号車。この4つのゼッケン番号となっている。

2019年以降、RECARO RACING TEAMのチームウェアは、原則レカロロゴをモチーフとして幾つかのバリエーションが採用されていた。2025年は、なぜゼッケン番号であったのだろうか?

これまでRECARO RACING TEAMは、発足依頼、止むを得ない事情を除き、それぞれのシーズンを通してフル参戦を継続してきた。このレースの魅力のひとつは、北は十勝スピードウェイ。南はオートポリス。そしてSUGO、もてぎ、富士、鈴鹿、岡山といった日本国内の主要なコースで開催されていることである。故に、幾つかのサーキットに偏ることなく、主要サーキットでのレースを広く学ぶことができた。それぞれのサーキットに他とは異なる独自の特徴があり、魅力があり、それによりブレーキやデフ、アライメントなどのセッティングが変わる。路面コンディションも気候も違ってくる。ナンバー付き競技車両をベースとするこのレースでもフォーミュラやSUPER GTと同じような経験を模すことができるのだ。しかしながら2025年のRECARO RACING TEAMは、フル参戦というフォーマットに固執しなかった。RECARO、富士スバル、そしてドライバーの意見を重ね合わせ、それぞれにとって最良のサーキットを選択した。全7戦中の5戦というのがチームの方針となった。

開幕戦のオートポリス。オートポリスの大会は、ピットが使用でき、かつ予選と決勝を1 Dayレースとしているため、その代わりレースウィークの練習走行枠に余裕ができる。大会前の木曜日あたりから土曜日まで、しっかりとマシンのセッティングを詰めていく余裕が生まれる。チームにとっても、ドライバーにとっても、そして何よりレースウィークでさまざまな経験をすることを目的とした富士スバルとSUBARUの派遣メカニックにとって、もっとも良いコンディションと言える。これは十勝スピードウェイでの大会も同様である。十勝は、予選・決勝こそ2 Daysとなるが、ピットが使用できることや、木曜日と金曜日に十分すぎる練習走行枠が確保されている。この2つのサーキットは、レースをする上で、チームにとっての最良の環境を提供してくれているのだ。従って、大分のオートポリスと北海道の十勝スピードウェイは最初に確定であった。

次は、最終戦の岡山国際サーキットである。最終戦というのもあるが、それだけではなく、RECARO RACING TEAMにとって岡山国際サーキットは特別である。2019年の発足依頼、チームがさまざまなテスト・練習を重ねたのが岡山のサーキットなのである。小暮選手がフォーミュラでもなく、SUPER GTでもなく、けしてレーシングマシンというには程遠いナンバー付きのSUBARU BRZでレースをするという無茶なオファーを快諾してくれた後、何とかこのレース特有の乗り方、走らせ方を習得するために練習走行を重ねたのもこの岡山国際サーキットであった。

そして5戦のうち、残る2戦は、RECAROが直営のショールームをオープンした場所。鈴鹿にある鈴鹿サーキットである。まだ地元というほどではないが、RECAROがこれから歴史を作っていく場所である。さらに「やっぱりSUZUKAは特別」というのが、小暮選手。そして地元中の地元となるのが佐々木選手である。鈴鹿サーキットで開催されるレースは、毎年練習のための走行枠が極端に少なく、他の大きなレースカテゴリーと併催も多いため、さまざまな理由でレース環境はとても厳しいものである。にもかかわらず、やっぱりSUZUKAは聖地と言えるのかもしれない。

そして最後は、モビリティリゾートもてぎ(旧ツインリンクもてぎ)である。これは、群馬にある富士スバルにとってもっとも近いサーキットとなる。富士スバルの社員も応援に駆けつけことが多く、またリクルート活動の一環として地元の自動車整備学校の学生さんらを招待している。富士スバルにとっても非常に大きな意味がある。

さまざまな想い。チーム、スタッフ、ドライバー。それぞれの想いでサーキットを選択した。自ら選択することで、それぞれの役割と責任に重みが生まれる。何とかしよう。何とか全員で力で合わせて、ひとつでも良い結果を目指そう。少しでも良いレースをしよう。そのための準備をしっかりやっていこうという目標が生まれる。今ある環境が当たり前ではないと思えるようになる。

5戦全戦出場するのは 909号車の小暮選手のみ。906号車の近藤選手は、十勝大会は不出場。903号車の佐々木選手は鈴鹿と岡山の2戦。270号車の江原選手は十勝・鈴鹿・岡山の3戦となる。だからこそチームは常にひとつである。みんなの想いを常に胸に刻み、それぞれがすべきことをするという想いを共有するために、4台のゼッケンをチームウェアの胸に刻んだ。

前半のオートポリス・もてぎ・十勝が終わった。残るは、全車4台が集結する鈴鹿と岡山のみ。2025年のチームウェアが輝く2つのレースを迎える。悔いなく、多くを学び、チーム全員で最高の準備をして、良い結果を目指して挑む。


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