Motorsport
RECARO RACING TEAMのGR86/BRZ Cup参戦に大きな原動力となっている富士スバル。その富士スバルの挑戦。
2021年よりRECARO RACING TEAMをサポートする富士スバル。初年度は、レース現場へのメカニック派遣からスタート。翌年の2年目は、RECARO RACING TEAMが所有する5台の車両のうち4台をメンテナンスするところまでステップアップ。各店舗から選抜されたメカニックが前橋市泉沢にある技術科の拠点に集まり、レース前とレース後の車両メンテナンスを担った。本レースは公道走行が可能なナンバー付きのマシンとなっているため、レース参戦車両といっても市販車とさほど変わらない。ロールゲージを除き、レース専用の部品が装着されていることもない。そのためメンテナンスといっても一般的な点検と整備が基本となるが、中にはレースならではの整備内容も含まれる。レース前とレース後のルーティンとして行われるアライメント測定および調整は、市販車では求められることが少ない精度の高さが要求される。当たり前のようで実は難しいのが、車両の状態を常に同状態に維持するということ。レース参戦ごとに車両が確実に変化する。ボディのよれや各部品の消耗。それがアライメントの数値に現れることもある。わずかな変化を察知し、その状況をしっかり把握し、必要に応じて部品交換などを行っていく。
3年目となる2023年は、さらなる進化を選択した。レース現場で1台の車両を富士スバルスタッフだけで担当するということである。これまでのようなRECARO RACING TEAM内のプロのレースメカニックをサポートする立場ではない。プロのレースメカニックから指示を受けて作業をするのではない。ひとり1台。車両整備だけではなく、レースをするために必要なことすべてをひとりのメカニックで担当するのである。本レースは、SUPER GTや他のカテゴリーのように、チームが、メカニックが分業制にはなっていない。ひとりのメカニックが1台の車両を担当し、車両に係るすべての作業、タイヤの管理、ドライバーとのコミュニケーション、レーススケジュールの管理、走行プランの管理など、すべてを担っている。クルマの技術的な知識だけではなく、レースに関する知識も学ばなければならない。体力的にも精神的にもかなりハードである。
また単純に車両整備の作業だけをしていれば良いということではない。自分が担当する1台だけを見て、考えて、行動していれば良いということではない。そうなるとチームとしての機能が損なわれる。チームで動いているということを考えなければならない。手を動かしながら、頭を働かせながら、周囲に目を配り、ドライバーに目を配り、チームとして報告・相談、そして情報の共有が強く求められる。
これが必ずスタッフひとりひとりの大きな成長につながる。成長するきっかけになる。それがチームの大きな原動力となる。強いチームへと成長することになる。
富士スバルの挑戦。富士スバル x RECARO RACING TEAM。これがモータースポーツの魅力のひとつである。