Motorsport
ニュルブルクリンクを駆けるかつてのRECARO社長。Elmar Deegener氏(エルマー・デグナー氏)。デグナー氏は、元はシート設計のエンジニア。欧州車では、アウディ。国産車ではインプレッサやランサーエボリューションなどに採用されたRECARO SP-J系シート。そのSP-J系シートのベースとなったメタルと樹脂のハイブリット骨格。今日のRECARO独自の革新的なコア技術。シート骨格を開発した経歴をもつ。技術系からRECAROのトップに就任したあとも、ポルシェやBMWなどのカップカーに採用されたRECARO P1300GTというフルバケットシートを生み出した。創業者のヴィルヘルム・ロイター氏と同様に、とにかく創造力がとても豊かな人であった。
そのデグナー氏は、RECAROのトップ。技術者のトップに従事する傍ら、個人の資産をもってモータースポーツの世界で活躍していた。RECAROが生まれたドイツにあるニュルブルクリンクサーキット。ニュルブルクリンクは、20.832kmの北コース(ノルトシュライフェ)と5.1kmのGPコースのふたつの総称である。北コースのノルトシュライフェは、高低差は300m。コーナーの数は172。世界最長で、かつ最も過酷なコースと言われている。近年多くの国産自動車メーカーもこのサーキットを車両開発の場として利用している。日産の35GT-RやトヨタのLF-Aなどもこのニュルブクリンクサーキットで鍛え上げられた。デグナー氏は、このサーキットで開催されているレースに10年以上も地元の有名レーシングチームからフル参戦しており、また世界的にも注目される24時間レースで何度もクラス優勝をした経験をもつ。
「ニュルブルクリンクは、ホームコースで、若い頃から数えきれないほどのレースで走ってきた。目をつぶっていても走れるほどだ」と笑顔で語っている。レーシングドライバーとしても長く豊富な経験をもつデグナー氏がゆえに、過酷なドライビングで、クルマが、ドライバーがシートに求める性能を技術者として誰よりも熟知していた。
RECAROは、世界有数の自動車専門メーカーである。多くのシートメーカーがコストパフォーマンスの高い大量生産型の商品を開発・製造する中、RECAROは創業から高品質・高性能、そして人がその手で作り上げるクラフトマンシップを大切に守り続けている唯一無二のシートメーカーである。ゆえに常に何か参考にしたり、真似たり、ベンチーマークとするものが世の中にはない。技術者・開発者は、自らの創造力で世の中にはないものを生み出さなければならない。誰よりも自動車用シートとは何かを考え、誰よりも自動車用シートの本質を知り、誰よりも自動車用シートの未来を創造しなければならないのである。
クルマを愛し、モータースポーツを愛し、RECAROを愛したデグナー氏のDNA。それがRECAROが継承すべきDNAである。それが未来のクルマ。未来のシートを創造するRECAROのBrand Promise(ブランド。プロミス)となる。