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Motorsport

2022年9月24-25日。GR86/BRZ Cup 第3大会 十勝スピードウェイ。RECARO RACING TEAMから4台のBRZがプロフェッショナルシリーズに参戦。906号車の佐々木孝太選手。909号車の小暮卓史選手。987号車の久保凛太郎選手。988号車の井口卓人選手。

9月24日(土)の予選走行前。天候が徐々に怪しい雲行きに変化。すぐに雨が降りそうな勢い。ドライか、ウェットか、あるいは両方に対応するか。タイヤの内圧をどう判断するか難しい状況であった。

予選開始。雨が降り出す前にタイムアタックをしようと、どのチームも我先にとコースインを急いだ。しかし今年のここまでのレース、コンディションが不安定な中での予選ばかりだった。この十勝でもいたずらな天候となった。コースインと同時に雨が降り出した。ドライコンディションのセットで賭けにでた久保選手は非常に厳しいタイムアタックとなってしまった。他3台は、ウェットも想定していたため、雨が降り出したコースで勝負を続けた。佐々木選手、井口選手、小暮選手が次々にタイムを更新する。3人のドライバーが上位に並んだ。これまで苦戦してきた小暮選手も遂に予選トップタイムを叩き出した。

誰もが待ち望んだ瞬間だった。ただ時間の経過と共に次々とトップタイムが更新される。予選終盤、最終ラップ、OTGの2人のドライバーがトップタイムを更新した。やはり厳しいかと思った瞬間、井口選手がそのふたりの間に割って入るタイムを叩き出し2位に食い込んだ。今シーズン、ここまで苦労してきた井口選手が遂に自身の本来いるべき場所に戻ってきた瞬間であった。トップとのタイム差はわずかコンマ2秒。今シーズン、安定して調子の良い佐々木選手も予選4位という素晴らしい結果を掴んだ。トップ5に入る選手は紙一重だ。佐々木選手のタイムもトップとわずかコンマ3.5秒だ。

さらに小暮選手の予選最終ラップ。セクター1とセクター2は、井口選手と同タイム。きた。このまま走り切ればトップ3に食い込める . . . 。モニターを見つめるチーム全員が高揚した。しかし最終コーナーでオーバースピードのミスが生じ失速してしまった。

携帯電話を使用したピットとドライバーの会話は競技規定で認められているが、携帯電話の電波は、サーキットがある郊外では不安定となるためチームとして使用していない。ドライであれば1ラップのアタックとなるため、とにかくドライバーがベストで走ることに集中する。しかしウェットコンディションとなるとタイヤの消耗が抑えられるため、プロフェッショナルシリーズでも予選時間をすべて使ってタイムアタックをし続ける。マシンに取り付けたラップタイマーだけを見ながらベスト更新をめざす。その時、自分のベストタイムがどの順位になっているかは全くわからない。それがわかれば抑えることもプッシュすることも可能だ。小暮選手は、自分のラップタイムを見ながら、最終ラップと自分のベストラップとのギャップを確認した。もう少しプッシュと判断した。結果、最終ラップの最終コーナーで少し無理をしてしまった。

小暮選手に限らず、すべての選手に難しい予選コンディションとなった。

翌日の決勝レース。予選トップの伊東黎明選手が見事トップを守り切り優勝。井口選手は何とか食らいつくもオーバーテイクとならず、それでもしっかりと2位をキープしてフィニッシュとなった。今シーズンもチーム初の表彰台は井口選手となった。15番手からスタートした久保選手。最後まで攻め続け10位でフィニッシュ。11番手スタートの小暮選手は12位でフィニッシュした。

最終的な結果は、4台のマシンが上位に並ぶとならなかったが、それでもこれまでのチームの予選・決勝の雰囲気とは明らかに違った。アプローチも違った。この状態で戦い続ければ必ずチームは強くなれる。このワンメイクレースがとても厳しいレースであるということは嫌と言うほど知っている。それでも可能性が見えた。遂に視界に入ったと感じた。4人のドライバーが本当に素晴らしい走りを見せてくれた。次は。いつか必ず。その場所へ。


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