Motorsport
2022年7月17日。GR86/BRZ Cup 2022 プロフェッショナルシリーズの開幕戦決勝。参加台数39台。スターティンググリッドにはRECARO RACING TEAMから参戦する4台のマシン。漆黒のボディに7色のピンストライプを纏ったカラーリング。周囲からは「黒い軍団」と呼ばれている。ドライバーは、906号車の佐々木孝太選手。909号車の小暮卓史選手。987号車の久保倫太郎選手。988号車の井口卓人選手。前日に行われた予選は生憎のウェットコンディション。昨年まではウェットコンディションであればブリヂストンタイヤを履くマシンが上位を占めていた。なぜならダンロップタイヤが完全ドライに狙い定めたタイヤ性能であるからだ。誰もが今年もそうであると確信のもと予選がスタートした。結果、ダンロップの圧勝。ブリヂストン勢は下位に沈んだ。
RECARO RACING TEAMもブリヂストンタイヤを履く987号車の久保選手と988号車の井口選手は、苦しい予選となった。なぜブリヂストンタイヤがウェットコンディションで下位に沈んだのか。昨年苦しんだ決勝2レースに備えてタイヤの耐久性を向上させたのが原因なのか、あるいは富士のウェットコンディションにタイヤがマッチしなかったのか、未だ明確な答えは見つかっていない。いずれにしても昨年までの圧倒的な強さはなく、ドライバーも全くグリップしない状況に苦しめられた。
一方で昨年までウェットコンディションは絶望的であったダンロップ勢がこの開幕戦富士においては躍動。昨年のディフェンディングチャンピオンの菅波選手やこのレースで圧倒的な実績を誇る谷口選手らが上位を勝ち取った。RECARO RACING TEAMのダンロップ勢も何とかシングルポジションをキープした。909号車の小暮選手がトップからコンマ7秒差で8位。906号車の佐々木選手が9位と続いた。
決勝レースは10LAPのスプリントレース。ドライコンディションになったことで、スタートの混戦をどう抜けるかが鍵となった。1コーナーから3コーナーまでの混戦で抜け出したのが906号車の佐々木選手。ベテランらしいテクニカルなドライビングで5番手まで一気に浮上した。セクター3まで混戦が続く中、それまで何とか順位をキープしていた小暮選手がダンロップコーナーの立ち上がりで順位を落としてしまった。佐々木選手は、第2グループの先頭を走り、後続車を抑え続けながら上位4台を果敢に追い続けた。先頭は菅波選手。続いて谷口選手。両者の激しいトップ争いが序盤から中盤にかけて続く。上位3台のペースが上がり続ける中、5番手を走る佐々木選手はペースをあげることに苦しむも後続の若手ドライバーを抑え続けた。スーパーGT500の現役ドライバー中山選手を含めた第2グループはサイドバイサイドを繰り返し、激しく順位が入れ替わるも、佐々木選手はそのまま見事5位でフィニッシュ。富士は、走行機会も多いため走り慣れた選手が多い。マシンのセットアップも完成されている。そのため富士で勝つということは非常に厳しい。佐々木選手が唯一あまり相性が良くないというのが富士であった。それでもこのレースでのキャリアハイとなる5位を勝ち取った。開幕まで必死に準備してきたチームにとって最高の結果であった。
このレースに昨年から参戦し、本格的なレーシングマシンではないナンバー付車両のこのレース特有の感覚に苦しんだ小暮選手も、17位フィニッシュという結果以上に、「やはり小暮選手は次元が違う」という速さを随所に見せた。特に1コーナーやダンロップコーナー。決勝レースで何度も見せたブレーキングからコーナー入り口までのごぼう抜きは周囲を走る若手ドライバーを刺激した。後方からのスタートとなった987号車の久保選手は、定評ある決勝レースでの強さを見せつけ11台をパスして15位フィニッシュ。リミッターありのワンメイクレースでこの追い上げはさすがの結果であった。21番手スタートの井口選手はひとつポジションを落として22位フィニッシュ。ミスターGTと言われる脇阪選手やこのワンメイクレースで実績ある坂口選手や青木選手など、名だたるプロドライバーらとポジションを争いながら冷静に苦しいレースを終えた。
このレースは国内でも最も厳しいワンメイクレースである。実績豊富なベテラン。勢いのある現役。このワンメイクレースのスペシャリストらが集う。このレースでトップを目指すということは生半可な覚悟では辿り着かない大きな頂である。4年目を迎えるRECARO RACING TEAM。今年はこれまでにない最高のチーム編成である。4人のプロドライバーのバランスも最高である。チームスタッフのメカニックらも最高である。今年も富士スバルの全面サポート。各タイヤメーカーに加え、今年からBLITZのスタッフもチームに加わった。メディア担当で愛知工業大学のTEAM AIスタッフも全戦帯同。スタッフ総勢26名。結果を求めてチーム全員が同じベクトルで戦う準備ができている。結果以上に、勝つための準備を全員で取り組んでいることが大きな成長である。最高のスタッフ、最高のチーム。このチームがRECAROを強くする。
予選:こちらのYouTube動画もご参考に(https://youtu.be/qCCZeCvidyk)
決勝:こちらのYouTube動画もご参考に(https://youtu.be/ciC_t-n7vtM)