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"SR"がRECAROスポーツシートの伝統を継承するのに対し、現行モデルRECAROのSportsterは、RECAROスポーツシートの進化の系譜を継承するモデルである。
従来の一般的なシートは、スチールフレームをシートの骨格にもち、大まかなシートの形状を成す外郭と人間の着座部分を保持するバネ部品で構成されている。これを親しみやすいもので例えるなら安いパイプベットと同じ構造であると言える。一方でRECAROシートはというと同じスチール素材を使用してはいるものの、骨格はモノコックの構造を採用している。ここでいうモノコックとは、骨格全体がパネル構造となっているという意味である。前者は、スチールフレームでシートのフォルム全体を形成して、人間の身体は、バネで何となく支えているに過ぎない。座った瞬間は、普通に感じるかもしれないけれど、長時間座っていると人の身体が何本かのバネで支えられているだけの構造に不快を感じる。身体が痛い・疲れる・長い時間正しい姿勢で座ることができないというのはこれが原因。
ゆえにRECAROシートは、モノコックのパネル構造を骨格に採用し、骨で人間の身体をしっかりと支えることが可能としている。さらに高品質・高密度のウレタンフォームを採用し、路面からの振動をしっかりと吸収し、身体の重さ=体圧をきれいに分散し、長距離・長時間座っていても身体にかかる負担を軽減できる性能を有している。
ここで問題となるのが、モノコックのパネル構造と高密度のウレタンフォームは、すべて重量につながる。こういう素材を使うとシートが"軽くならない"ということになる。
そこでRECAROが独自の技術で開発したのが、このRECARO Sportsterに採用している複合強化樹脂素材を用いたモノコックのパネル構造である。従来のスチール素材ではなく、ナイロン樹脂を使用した複合素材をバックレスト(背もたれ)とシートクッション(座面)の双方に採用することで、安全な強度要件を十分に満たしながら軽量化を図ったのである。またスチールフレームと異なり、樹脂成形のためデザインの自由度も飛躍的に広がった。これだけ薄型のフォルムとスタイリッシュなデザインで、厳しいとされる自動車用シートの強度要件をクリアできるのは先進的な生産技術があるからである。
この他ではけして真似することができないRECARO独自の技術を用いたSportsterの系譜は、北米・欧州の多くの自動車メーカーがハイパフォーマンスグレードで純正採用している。日本でもトヨタ、日産、スバルなどが採用している。
変わるべきもの。変わらず継承すべきもの。RECAROの歴史は、RECAROのDNAは、常にこのふたつの価値の追求に存在する。