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2021年12月。RECAROの上級モデルとして多くの人に愛され続けたSPORT-JC、STYLE-JC、STYLE-DCの3つのモデルが遂に生産終了となった。

3つのモデルはAM19シリーズの系譜をもつ。AM19シリーズには、パワーリクライナー、ベンチレーション、シートヒーターというRECARO独自のコンフォートパッケージを有するグレード、手動式エア・ランバーサポート、座面の長さを変えられる"シート深さ調節機能"、ハイトアジャスターなど、さまざまな当時の最新技術を有したグレードなど、豊富なバリエーションがラインアップされていた。

またAM19シリーズは、バックレスト(背もたれ)とシートクッション(座面)の骨格に従来までのメタルストラクチャーとコンポジットマテリアル(複合樹脂素材)のハイブリッドという革新的な技術を採用したていた。特にシートクッションは、SRシリーズやエルゴメドシリーズに採用されているラバーマットサスペンション(ウレタンフォームのたわみを抑えると共に路面からの振動を吸収する機能をもつ部品)を使用せず、RECARO独自の技術で開発したサスペンデットシェル(シートクッションの骨格に振動吸収の性能を装備)を使用していた。つまり路面からの振動をクッションやその他の追加部品で吸収するのではなく、骨格に備えたサンスペンション機能で吸収していた。この技術によって、従来よりもローポジションでシートを取り付けるメリットを生み出した。

そして骨格、基本的な装備、採用する技術を共通化してスポーツシート、コンフォートシートなど異なるカテゴリーのモデルをバリエーションとしてラインアップした。SPORT、TREND、STYLEというモデル名でAM19シリーズは彩られた。今となっては一般的となった自動車メーカーのプラットフォーム化(フレームやコンポーネントなどを異なる車種で共通化して新型車の開発効率を高める方法)をRECAROはこのAM19シリーズでどこよりも早く開発していた。故に世界中の自動車メーカーが、スポーツカー、セダン、SUVなど、さまざまなセグメントのパフォーマンスグレードに採用した。

スポーツドライビングを愉しむスポーツシートとしてのホールド性能、ロングドライブを愉しむコンフォートシートとしての快適性能、この相反する性能をバランスよく融合したのがAM19シリーズであった。今も変わらずこのモデルを愛用しているオーナーは多い。

AM19シリーズの最後のモデルとしてラインアップされていたSPORT-JC、STYLE-DC、、STYLE-JCの生産終了。惜別の声も非常に多い。先人の叡智の結晶である。RECAROが受け継ぐべきDNAが詰まったモデルである。それでもRECAROは、次世代のスポーツ&コンフォートシートシリーズの開発を進めている。1年後、2年後、RECAROは、新たなRECAROのフラッグシップモデルを発表する準備を進めている。変わらず受け継ぐべきものと、変わるべきもの、その思想を重ね合わせ未来のシートを創り出す。

惜別のAM19シリーズ。今まで多くの人に愛され続けたAM19シリーズ。ありがとうございました。今なお、このAM19シリーズを所有しているオーナー様は、ぜひともこれからも大切にご愛用ください。


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