RECARO
馬車から自動車へ。コーチビルダーとしてヨーロッパのあらゆる自動車メーカーに車体および内装の製造を供給し続けたロイター社が、世界初となる自動車部品のシート専門メーカーとなる道を歩み出したのが1963年。社名も改め、RECAROが誕生。
RECAROは、1963年にフランクフルトモーターショーでポルシェ社が発表したポルシェ901のシートを開発。その2年後の1965年には、世界初となるRECAROの名が刻まれたスポーツシートの発売を開始した。ロイターは、前身のロイター・シュトゥットガルト車体製造会社時代からシート開発に強い関心をもち、近い将来必ず重要な部品となると信じていた。リクライニング機能をもつシート、ヘッドレストやサイドサポートをもつシートなど、自動車用シートの新たな道筋を数多く示し始めたのもRECAROであった。
1970年代には、人間工学を取り入れ、運転中の身体に掛かる負担を軽減するメディカルシート「オルソペド」を開発。ショルダーサポート、サイドサポート、ランバーサポートなどの機能に加え、運転する人の体型や体格に合わせて個々に調節できる機能も開発。高級車から大衆車へと自動車業界が大きく変化していく中、RECAROが創りだす自動車用シートも見た目の良さだけではなく、快適性や安全性といった機能性を備えるものへと変わっていった。当時、自動車用シートの開発および製造に確固たる哲学をもっていたのは唯一RECAROだけであったと言われている。
バウハウスが生み出したとも言われるドイツの合理主義的な文化。極めて合理的でかつシンプルで生産性の高いデザイン。RECAROでは、デザインは常に機能の追求から生まれると考え、RECAROが創造するシートにどんな機能と役割が必要なのかを優先してきた。
運転中の人間の身体をどのように支えるか、身体に掛かる負担をどのように軽減できるのか。
その答えがRECAROシート。