CHANGE YOUR SEATシートが変わればクルマも変わる

Carlife

ポルシェ 718 ボクスターにRECARO Sportster LL210Hを装着。ボディのアゲートグレー、ソフトトップの赤、そしてRECAROの赤と黒の2ートンレザーが見事にマッチング。上質で大人っぽい雰囲気の中にほんの少しスポーティでやんちゃな雰囲気を演出している。

伝統と革新、高性能と日常における利便性の高さを掲げる718ボクスター。水平対抗4気筒のターボエンジンをミッドシップに搭載する。低速ギア比がかなり高いのか、ターボエンジンの特性なのか、高速域での運動性能が魅力的な911とは異なり、街乗りで軽快な走りを魅せる高級車だ。このコンセプトと実際の走りにRECAROのSportsterはまさにピッタリな印象を受ける。RECAROのSportsterもRECAROのスポーツシートとしての系譜ではあるが、どちらかというと上質で快適なスポーツシートだ。ホールド性が突出している印象ではなく、開放的なロングドライブをスポーティに楽しむハイブリッドな座り心地である。スポーティなフォルムにもかかわらず、ミッドシップエンジン、低速から中速までの軽快さ、上質なつくり内装といったボクスターによく似ている。

ポルシェにRECAROは最高にあう。生粋のポルシェオーナーであれば誰もが知っていることだ。ここでポルシェとRECAROは本当に相性が良いのか確認してみた。

ボクスターであれば全く問題がない。981でも987型のものでも同じである。若干、気になるのは911の場合。あえて言うなら . . .  
ポルシェのペダルは奥に深く、その割にステアリングが思ったほど手前に伸びてこない。PDKであれば良いのだが、3ペダルのマニュアルともなると、日本人には少し気になるレイアウトとなる。足を伸ばして、ステアリングを手前にしようとすると、ドライバーの着座位置はやや腰を前に滑らして潜り込みたいところである。RECAROのシートポジションだと着座位置がやや高くて潜り込みづらい。といってもマニュアル車オーナーもかなりレアになってきている時代だけに、多くのオーナーには関係のない話だ。参考までになぜポルシェにRECAROを装着するとポジションがやや高くなるのか?横幅の狭いフルバケであれば、むしろ低すぎるほど低くすることもできる。つまりRECAROのシートレールに問題があるのではない。問題があるのはポルシェ側だ。ポルシェは空冷時代からBピラーの下、ドアとフロアの境目に大きな段差がある。これがシートの横で干渉する。さらにフロアの形状もリア側からフロント側への傾斜がかなりあってさらに突起物が存在する。シートを前後にスライドさせるとフロアとシートの底部が干渉する。横も底も必ず干渉してしまう。ゆえにポジションを下げたくても下げられない。リアにスライドしたくてもできないというのが非常に悩ましい。

ただ日常の走りでは全く問題ないポジションは確保されている。サーキット走行でフルバケ装着するのであれば、たとえマニュアル車であってもシートポジションは全く問題ない。ただ何となく惜しい。
このRECAROのSportsterのリクライニング機能には、電動タイプと手動タイプの2種類がある(※レザーモデルは電動タイプのみとなる)。街乗りとハイウェイ走行。渋滞中など。少し座っている姿勢を変えたいと思ったときに電動タイプのリクライナーモデルはとてもありがたい。背もたれの角度を少し動かすだけでペダルやステアリングとの距離感はかなり細かく調整できる。これで運転中の身体に負担が掛かるのは十分避けられる。何と言ってもRECAROシートそのものの疲労軽減する性能は、純正シートらの比ではない。純正シートであれば良くて6割と仮定。RECAROの場合、8割〜9割は満足できる。残りの1割は運転する人の体格やクルマの使い方に依存する。どうしても世界で唯一無二のブランド力をもつRECAROだけに完璧を求めてしまう。シートポジションは、シートだけでは完璧とはならず、人とシートとクルマのレイアウト。この3つのマッチングが不可欠である。ただ人とクルマのレイアウトは選択できないとしても、シートは選択できる。ひとりひとりにあった選択が可能だ。そしてひとりひとりにあったポジション調整をしたシートの取り付けも可能だ。

ポルシェとRECARO。今もこれからもベストマッチング。


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