RECAROモータースポーツシートの中で、PRO RACER SP-Aは競技専用シートとして世界中のトップドライバーに最も愛されたモデル。一方で、同シリーズのSP-Gは、各国の法規に適合し、公道でも使用することができたことからRECAROと言えばSP-Gと記憶している人も多い。

日本国内で長きに渡りラリー界を牽引し続けている新井敏弘選手、奴田原文雄選手、そして勝田範彦選手のトップ3もPRO RACER SP-Aを使用している。何年使い続けても、不満のひとつも聞こえてこない。シートと言えばRECARO。ラリー車に装着するシートはPRO RACER SP-A。その方程式は不変である。もはや身体が記憶している領域。それ以外のシートに座って競技するということは想像し難い。

競技に必要とされる強度と剛性があり、重量も軽く、RECAROと同じようにFIAの認証を取得しているシートは他にもたくさんある。WRCの世界を見れば、RECARO以外のシートを供給しているメーカーは、けしてシート専門のメーカーではなく、モータースポーツでドライバーが使用するさまざまな装備品を供給しているメーカー。ゆえにシートとそれ以外の装備品をすべてまとめてサポートすることでチームのオフィシャルスポンサーに容易になることができる。ドライバーは否応なしにそのメーカーのシートを使用する。RECAROはシートのみの供給。つまりRECAROシートを使用しているトップドライバーは、自らRECAROシートを選択している証。RECAROにしかない価値を求めているドライバー。

RECAROシートの価値は、語るまでもない。良いシートの評価は、ドライバーが何も感じないこと。ドライバーに一切のストレスを与えないシートが良いシート。PRO RACER SP-Aはそういうシート。

ドライバーの身体が覚えている。まるで履き慣れた靴のように。SUPER GTを引退して間もない脇阪寿一選手が、PRO RACER SP-Aに座った瞬間、「これは僕が若かりし頃に座っていたモデルですよね」と満面の笑みで言った。やはり身体が覚えていた。頂点を極めたドライバーは、本物と言われるものを理屈ではなく身体で記憶していた。

RECAROのPRO RACER SP-AはRECAROが生み出した時代のマスターピース。

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